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延長保証で9年間の保証があるのでは?? それじゃあ一体何年の保証があれば満足されるのでしょうか。20年でしょうか。それとも30年でしょうか?? それとも発症していない車両も含めてすべての車両に対して無償で部品交換を行えばいいのでしょうか。
トヨタもあくまで民間企業なのですからいつまでも保証するわけにもいかないでしょうし、私は車で10年近く保証してもらえるなら十分な気がしますが・・・。
私は北米に住んでいますが最近、車では韓国のヒュンダイ、家電ではサムスンやLGの攻勢がすごいです。また、現在の北米駐在になる前、FTA締結前のタイにおりましたが、あちらでも同様に家電を中心とした韓国勢のシェアの伸びはすさまじいものがありました。
現地の方々曰く「日本製品は確かにすばらしい。だけど高すぎる。」、だそうです。パーフェクトな品質と海外の方々の目からすれば過剰なまでに多機能な日本製品よりも、例えば洗濯機なら普通に洗濯できれば良いから価格が半額の韓国製品のほうが人気ということです。また、韓国系のメーカーの方々との仕事をする機会も有りましたが、彼らは「日本製品は過剰品質だ。」と言います。
私は自動車メーカーの人間として長い期間海外で過ごしておりますが、日本市場は怖い。まさにガラパゴス状態、というのが率直な感想です。携帯電話なら電話できれば良い。洗濯機なら普通に洗濯して脱水できれば良いでしょう。機械ですから壊れるときは壊れますし、初期不良だっていくつか作っていれば1つや2つはあります。しかし、日本市場ではこれが許されません。価格が2倍になってもいいから、パーフェクトな品質、多機能が求められる傾向が強いです。ですから自分で言うのも何ですが、日本のメーカーは過剰品質とまで言われる製品を作る傾向にあります。
でも、これははっきり申し上げて日本だけといっても過言ではない、というのが私の印象です。普通に使えてたまに壊れてもいいから価格が半分の方がいい。というのが世界では大多数です。パフォーマンス(機能や品質、保証)と、それに対するコスト(価格)のバランスが、日本市場とその他の国とではかけ離れている気がします。
11型が世界全体でどの程度流通したのかは存じませんが、日本市場で20年保証、もしくは未発症の車両も含めたすべての車両の無償部品交換をしたとしたら、海外でも同様の保証をせざるを得ません。日本ではやって、なぜ我々の国では行わないのだ?という事になってしまうからです。実際、私の知る範囲でも20年ほど前の話になりますが、トヨタはセリカの安全装置の件で日本と米国で異なる能力の装置を付け、その為に米国で訴訟を受け、敗訴しました。日本でやっているのだからこちらでも同じにしろ、という事です。
ご承知の通り、トヨタはもはや日本企業ではなく世界企業です。先述の理由から、特定の国だけは保証を手厚く(その代わり価格は高く)、特定の国では保証を低く(その代わり価格も低く)、という事は難しいのです。ですから日本も海外も同じ保証内容にせざるを得ません。日本市場の過剰なまでの保証や品質に対する要求を100パーセント受けていては当然価格も高くなり、そこまで求めていない海外市場では売れなくなってしまうのです。海外の感覚で申し上げれば、安全上重大な危険を及ぼす事のない(少なくとも国交省やNHTSAはこの問題に対してそう判断しているのでしょう。)このステアリングの不具合に対して9年も保証するということ自体、かなり手厚い待遇だと思います。ヒュンダイも含めて世界中の自動車メーカーが成しえなかった新しい車を作ったのですから、今まで経験のない設計のために普通の車に比べて不具合の発生率も高いのでしょう。その不具合が発生した際に9年間は無料で修理してくれる、という対応は日本の皆さんには不十分に感じられるのでしょうか。私には、十分だと思うのですが・・・。
世界的に見ればリコール制度など存在しない国が大多数であり、一定の品質と機能さえあれば後は価格が安い方が好まれる海外市場と、一方パーフェクトな品質と(世界基準でみれば)過剰とまで言える機能を求められる日本市場。もう30年以上日本と海外を行ったり来たりの日々ですが、品質と価格に対する異なる価値観の中、同じものを販売するのは難しいなと、この掲示板の書き込みを拝見させていただいて改めて感じました。
長々と申し訳ありません。私もプリウスにはちょっとした思い入れがあって大好きな車です。可能な限り、末永く乗っていただくことを願っております。
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